自分の体質を知ることが大切!
今回のテーマは、「虚実の証」です。これは自分の体質を知る上で重要な手掛かりとなるものです。
つまりは体力の充実度や体質、病気に対する抵抗力・反応性の強さを表すのが「虚実の証」です。
その強さにより、実証・虚証・中庸に分けられます。
実証の人は、体力や気力が過剰で、病気に対する抵抗力が強いタイプです。病気への反応性も高く、
カゼなどにかかると高熱が出るが回復が早く、いつまでも寝つくことはありません。
しかし、病気を感知するセンサーが鈍いため、病気に気付かないことも多く、病院に行った時には
すでに重病になっていることも多いのです。
一方、虚証の人は、体力や気力が弱く、少しの無理でも疲れを感じ、病気に対する抵抗力も弱いタイプです。
病気への反応性も低く、カゼを引いても微熱が続き、長々と寝ついてしまいます。
しかし、病気に対するセンサーが鋭く、少し体調を崩すと体を休め、病院へもすぐに行くため、
重病になることは少ない傾向にあります。
実証・虚証は共に未病の状態にあり、中間である中庸が健康な状態なのです。
今回は「気血水」の中の「水」についてお話しします。東洋医学では「水」は生体を防御する機能と器官の働きに
関係するものの総称です。つまり「水」は皮膚や粘膜を丈夫にして外敵から身を守ります。
西洋医学的に見ると、「水」は白血球やリンパ球等に相当します。
白血球としては「血」と共に全身を巡り、体内に侵入した病原菌から体を守る役割になります。
リンパ球としては、生体防御機能の要として、「水」の一部であるリンパ液中に存在しています。
リンパ球は免疫機能を担い、全身に張り巡らされたリンパ管の中を流れ、病原体という抗原に対して、
タンパク質という抗体をつくり、病原体を破壊し、生体を病原体から守るという重要な役割をもっています。
そのため、「水」に異常をきたすと、「水毒」といわれます。感染症や、膠原病等の自己免疫疾患にかかりやすく
なります。また、「水」が不足すると、肌の乾燥や便秘、粘膜の渇きなどが起こります。
[水の働き]
・皮膚や粘膜を丈夫にする
・病原菌等が体内に侵入するのを防ぐ
・体内に侵入した病原菌を殺す
・免疫機能を担当する
[水のトラブル]
・水毒
今回は「気血水」の中の「血」についてお話しします。東洋医学では「血」は単に血液を指すものではなく、
「血」の循環や「血」により現れる機能の総称です。つまり、「血」は「気」と共に全身を巡り、
体内の微調整をしながら体の隅々まで酸素と栄養を運びます。
西洋医学的に見ると、「血」は全身に血液や栄養素を配給し、血液中の老廃物を取り除き、
ホルモン分泌の微調整をして全身の活動力を高める働きをしています。
つまり、「血」は「循環器系・内分泌系」の機能に相当します。
「血」のトラブルには、次の2タイプあります。
「血」が不足した状態の「血虚」、「血」の巡りが滞った状態の「於(やまいだれ)血」です。
「血」に異常をきたすと、脳梗塞、心筋梗塞などの循環器系の病気をはじめ、出血傾向などの血液疾患、
月経異常などのホルモン異常、特に婦人科系の病気にかかりやすくなります。
また、肝臓病などの内臓の病気でも「血」の異常が起こる場合があります。
[血の働き]
・体の隅々まで酸素と栄養を運ぶ
・体内で生成された老廃物を取り除く
・ホルモンの分泌を調整する
・体内の機能の微調整を行う
[血のトラブル]
・血虚
・於(やまいだれ)血
今回は「気血水」の中で最も重要だという「気」についてお話しします。東洋医学では、生体全体の機能を正常に
保つためのエネルギーが「気」であり、生体内で生成された「気」が体内を巡り、生命活動が行われていると
考えます。西洋医学的にみると、「気」は自律神経の機能と自律神経が担当する器官、臓器の働きに相当します。
つまり自律神経は交感神経と副交感神経から成り、消化器・血管系・内分泌腺などの機能を調節する役目を
担っています。また、生命活動を維持する食欲から消化吸収までの全ての機能に「気」は関わっています。
さらに、「気」は「血」や「水」を体全体に巡らせるという大きな働きがあります。ですから、「気」の異常を
放っておくと「血」や「水」にも乱れが生じてきます。「気」の巡りが悪くなることで起こる「気」のトラブルは
次の3タイプあります。気力がなくなる『気虚』、気が滞る『気滞(気うつ)』、気が逆流する『気逆』で
あります。
[気の働き]
・生命活動全般を統括する
・自律神経の機能を担当する
・食欲から消化吸収までの全ての機能を調節する
・血や水を全身に巡らせる
[気のトラブル]
・気虚
・気滞(気うつ)
・気逆
今回は東洋医学の基本でもある「気血水」についてお話しします。「気血水」は、人の生命活動のもとであり
「気」「血」「水」が互いに影響しあってバランスを保ち、体を動かし、頭を働かせ、心を安定させます。
この「気血水」に乱れが生じると病気になると考えられています。
「気血水」の働きは、西洋医学の概念「神経・内分泌・免疫」に当てはめて考えることができます。
「気」は、血と水を運ぶ役割をし、全身をくまなく巡らせる「自律神経系」。
「血」は、栄養を運んだり、老廃物を押し流したりして体内環境の調節を行う「内分泌(血液やホルモンなど
を含めた体液系)」。
「水」は、体に潤いを与え、細菌やウイルスから体を守る「免疫系」に相当します。
「気血水」が過不足なくバランスのよい状態が理想的な健康状態である中庸です。
・気→{自律神経}
→{摂食意欲~消化吸収}
・血→{循環系・内分泌・ホルモン系}
→{内部環境の調節機構}
・水→{免疫・皮膚・粘膜}
→{生体防御}
経絡は地下鉄、ツボは駅
一般的に「ツボ」とは、全身を巡る「経絡」上にある「経穴」のことです。経絡は体内の臓腑や器官を繋ぎ、
全身を巡る気と血の通り道である。経絡は地下鉄のようなもので、地上(体表)からは見えないが、地下(体内)を
くまなく走っている。ツボはその経絡上にある駅のようなもので、体内と体表を結んでいる。
経絡の流れが滞ったり、臓器に不調があったりすると、その不調はツボに反映され、しこりや腫れが現れる。
ツボには体内の不調が現れるが、同時にその不調を治療するポイントでもある。ツボを刺激することで
「気血水」の流れを改善し、エネルギーを吹き込むことができる。その刺激が経絡から臓腑にも伝わり、
臓腑の働きを整えることができる。ツボを刺激することで体に起こったゆがみや乱れを本来の正常な状態に
戻すことができる。
灸とは、もぐさを燃やして、その熱でツボを刺激する治療方法です。もぐさは、火をつけると50~60℃程の熱を
保って、ゆっくり燃え続けます。もぐさは、ヨモギの葉の裏に生えている白い毛(毛茸❨もうじょう❩)から
つくります。ヨモギの葉をよく乾燥させてから細かく砕いてふるいにかけると、葉のかけらと毛茸に
分けられます。毛茸だけを集めてかためたものが、もぐさです。灸をすえる時には、必要量だけ指先でつまんで
円錐形になるようにひねって使います。これをが艾炷(がいしゅ)といいます。1回分の艾炷が燃え尽きるまでを
一壮といいます。灸をすえることで、痕がつくのを好まない人も多いため、痕が残らない灸も工夫されています。
痕が残る灸を有痕灸、残らない灸を無痕灸といいます。因みに当院の灸は無痕灸なのでご安心ください。